• 古澤慎之介

ミッション・ビジョン・バリューの浸透において大切なこと。

 色々な規模の企業様とお付き合いをさせていただいておりますが、企業によってミッション・ビジョンがしっかりと従業員一人ひとりに浸透していると感じる企業もあれば、完全に形骸化してしまっていることもあります。スタートアップ企業やベンチャー企業など、人数が少ないうちは、比較的浸透していますが、売り上げ規模が拡大し、採用数を増やして規模が大きくなってくるほど、それが形骸化していく傾向があります。


 特にスタートアップ企業、ベンチャー企業の場合、中途採用をメインに増やしていくことが多く、様々なバックボーンや動機を持つ人が入社してきます。この人が一気に増えていく時に事業を拡大に向けてシステムを回すことだけでなく、しっかりミッション・ビジョンを浸透させていけるかどうかが、その後の組織力に大きな影響を与えてきます。


 ということで、本日は、ミッション・ビジョン・バリューをどう浸透させていくかについてお伝えしていきます。

「もっと会社のビジョンを理解して欲しい」と嘆く前に。

 ホームページにはミッション、ビジョン、バリューを掲載し、新入社員には自社のミッション・ビジョン・バリューを理解するための研修も行っている、しかし、いまいち浸透しているとは思えないということはよくある課題です。ビジョンの浸透には、認知しているレベル、理解しているレベル、共感しているレベル、行動につながっているレベルとありますが、行動レベルまで行かないと、機能しているとは言えないでしょう。


たまに「もっと会社のミッション・ビジョン・バリューをしっかりと理解してもらいたい」と漏らす経営者がいらっしゃいます。その際に、私がいつも問いかけるのは「メンバーの夢や目標、価値観に関心を持ったことはありますか?」ということです。


 これができていないのにも関わらず、会社のビジョンに関心を持って欲しいと言ってもなんとなく納得感がないですよね。しかし、実際に社長が全社員の夢や目標を把握できるのはせいぜい数十人程度の規模まででしょう。会社として一人ひとりのことを関心を持っていることが伝わることが大切です。


ビジョンの浸透に置いて大切なのは、

会社が社員一人ひとりに関心を持っているということが伝わることと、会社のビジョンの当事者にすることです。そのためにできることをいくつかご紹介します。


●面接時、採用時のコミュニケーション

 従業員が必ず通るものとして採用面接があります、採用面接でも、自社のミッションやビジョンについては話をする機会があると思いますので、その時に、応募者が自分の人生にどんなビジョンを持って今までやってきたのかを聞いてみるということです。これ自体は多くの企業が採用面接の時に聞いていると思いますが、自社に合うかどうかという採用視点だけでなく、相手の夢やビジョンを肯定する目的で聞くということがポイントになります。


●入社時のビジョン研修

 新卒・中途問わず、入社時に研修を実施していることも多いと思います。この場でも自社のビジョンについて学ぶこともあるかと思いますが、できる限りその場に参加している先輩社員も、入社者も、それぞれが個人の夢や目標を語り合い、その違いを楽しみ、肯定し合うことをお勧めしています。これによって、それぞれが自分の夢や目標を持ってこの会社にいるということを認識させ、それぞれの夢を肯定しあい、応援しあえる場だと認識してもらうことができます。 


 このプロセスを経た後に、どう会社のミッション・ビジョン・バリューの実現やそのプロセスが、それぞれの個人の夢や目標達成にどんな影響があるのかという関連性を言語化していくことで、自分の夢や目標と会社のビジョンがリンクし始めます。


 会社のビジョンは創業者や創業メンバーが策定していることが多いので、会社のビジョンと従業員の想いの熱量というのはなかなか一致しにくいものです。だからこそ、従業員が熱量を持てる個人の夢や目標と会社のビジョン実現の関連性を明確にしていくことで、当事者意識を持ちやすくなります。また、自分個人の夢や目標を肯定してくれる会社だという認識が生まれることで、会社との信頼感が増してきます。


 ビジョンをただ唱和させても自分ごととして浸透はしていきません。個人の夢と会社の夢の関連性を見出させていく場の設計やコミュニケーションを意識していきましょう。


ミッション・ビジョン・バリューを一人ひとりの行動レベルに落とし込むために。

 ミッション・ビジョン・バリューが形骸化しやすい原因の一つとして、言語化された時に抽象度が高くなりがちになるということが挙げられます。抽象度が高いために、だから私はこうするという行動に繋がりにくくなりがちです。そのため、行動規範が必要になってきます。企業の一員として何を大切にしていくのか、それをどのような行動で示すのかというものを明文化したものです。


 行動規範がしっかりと策定されている企業は多くありますが、これが策定されているかどうかと、機能しているかどうかは別問題だったりします。個人的な印象ですが、かなり事細かに、策定されている企業は割と具体的な行動につながっている様に思います。逆に「我が社の3訓!」のような感じで、これまた大枠だけが策定されている場合は形骸化しやすいです。シンプルでわかりやすいことは大事ですが、機能していなければ意味がありません。


 機能しやすい行動規範のポイントをご紹介します。


●なぜ、そうなのかを理解できる様になっている。

 行動規範というとHowによりがちですが、Why(目的)What(価値観)との関連性がわかる様にすることで、行動する動機が生まれやすくなります。明文化されていなくとも、を伝える際に必ずWhy・Whatも一緒に伝えていくことで、納得感が生まれてきます。


●行動規範はより具体的に、よりイメージしやすく策定する。

 行動するシーンと行動している自分が具体的にイメージしやすいかどうかということです。


●トップリーダー層が行動で示している。

 ビジョン実現のために、どれだけ具体的で共感性のある行動規範が策定されていても、トップリーダー層がそれを自らの行動で実践していなければ、従業員には伝わりません。リーダー層が体現できていて、その姿をみて、私もそうなりたいと憧れを抱き始めると、行動規範は自然と全社に浸透していきます


 ミッション・ビジョン・バリュー・行動規範が浸透し始めると、企業のアイデンティティが際立ってきます。この浸透こそがインナーブランディング(内部に向けたブランディングで、ブランドの基礎土台になるもの)になり、それが徐々に外部に滲み出していくことで「ブランド」が確立されていき、最終的に強烈な企業競争力にもなっていきます。また愛社精神が強まり、離職率にも影響を与えます。


 今日ご紹介したものは、コストをかけずにできることばかりです。

大企業や中堅企業だけでなく、ベンチャー企業が急成長し、中途採用で人が増えた際などにも、いつの間にかミッション・ビジョン・バリューの浸透率が薄れていくことがあります。

ミッション・ビジョン・バリューが行動レベルに浸透しているかどうか見直す機会や、全社員で企業のあり方を考えるコミュニケーション機会などを定期的に設けてみてはいかがでしょうか。



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