• 古澤慎之介

イノベーションの足枷になっているのは種を腐らせ、芽が出ても実る前に摘み取る組織風土。

 変化が常態化しているVUCA社会の中で組織が成長し続けていくためには、新しいチャレンジをし続けてく必要が出てくる。連続イノベーションが求められるとも言えるでしょう。イノベーションは、Appleのスティーブ・ジョブズのうようなイノベーティブなリーダーが強烈なリーダーシップを発揮して牽引していくケースもありますが、多くの場合は組織の中から生まれたイノベーションの種をしっかり育てきれるかどうかが鍵となってきます。


 しかし、変化しなくても生き残れた時代が長かった日本経済による影響なのか、日本の企業ではなかなかイノベーションが生まれてこない。これは日本にイノベーターがいないのではなく、イノベーターが育たない組織風土に原因があるとみている。


 イノベーターが育たない風土とはどういう風土なのか、そしてイノベーションが生まれやすい組織環境にしていくためには、どのような要素が必要なのかを考えていきましょう。

チャレンジを求めながらも、チャレンジする人が損する組織風土。

 イノベーションの必要性を切実に感じながらも、その種がなかなか出てこない、新規事業を立ち上げようとしても、なかなか進まないという企業は少なくない。私もいくつもそういう企業課題の相談を受けてきたが、多くの場合、その原因はやり方ではなく、組織風土にある傾向があるのです。


イノベーションが起きにくいヤバイ組織風土をご紹介します。


イノベーションの種を腐らせてしまう組織風土

 イノベーションの種はどこから出てくるかわかりません、リーダーから出てくるかもしれませんし、20代の新入社員から出てくるかもしれません、事業部門ではなくコストセンターのメンバーから出てくるかもしれません。これらの声や意見を素直に拾い上げる風土がないと、そもそもイノベーションの種を発見しにくいことがあります。

 

 また、仮に声をあげても「成功事例はどうだ?」とか「そんなこと言ってないで自分の仕事をやれ」だとか、保守的になりすぎて、結局話すらろくに聞いてもらえないなんてことも少なくありません。これが続くと、誰も声をあげなくなり、自分に与えられた役割だけをこなせばいいやというマインドになってしまったり、イノベーター気質のメンバーが退職してしまうなどの現象が起きてしまいがちです。


 業界経験や社歴が長く、その慣習や常識に染まりきっていると、どうしても革新的な発想ができなくなってきます。そのことをしっかりと自覚し「よそ者」「若者」「バカ者」の声にしっかりと耳を傾ける必要があるということを頭に入れておきましょう。 


イノベーションの芽が出ても摘み取ってしまう組織風土

 イノベーションの種を見つけ、ようやく着手し始めても、発芽しそうなところで刈り取ってしまうケースも少なくありません。これは成果を焦りすぎると起こりがちです。

どこかでGO NOGOの線引きをする必要はありますが、このジャッジがあまりに早すぎるのです。イノベーションはそう簡単に実らないことが多いということを経営陣が理解し、覚悟を持って全社戦略として取り組むということが必要になります。


 そしてもう一つが「評価制度」の問題。なかなか成果が出ない中で、イノベーションを担当する部門にも他と同じ評価制度で人事考課が行われると、どうしても成果が出にくいため、評価が下がりがちになり、その結果、モチベーションが下がるということになりかねません。こればかりは調整は難しいと思いますが、社長直轄の特命プロジェクトとして評価制度なども全く別にするという検討も必要になってきます。


●実った成果をあっさり横取りされる組織風土

 これはイノベーションに限りませんが、チャレンジした当人の上役が丸ごと成果を手柄にしてしまうということです。こういうのは姑息なことに隠れて行われますが、多くの場合、誰がみても「お前じゃない」というのはわかります。チャレンジした当人がしっかりと評価される公平性がある組織風土になっていないと、次が続かなくなります


●失敗すると再起できない組織風土

 失敗すると再起できない、意外なことに、チャレンジを推進している企業に多い組織風土です。チャレンジしろと言いつつ、失敗すると飛ばされるなど。チャレンジにはリスクがつきものですが、リスクを撮るのは経営層であり、チャレンジする人のリスクはできる限り少なくしてあげないと、どんなに素晴らしいアイデアを持っていたとしても、誰もやろうとは思いません。イノベーションや新規事業は経営陣の覚悟が不可欠です、その覚悟とは、「ケツは全部俺たちが拭くからやってみろ!」とリスクを全部請け負う覚悟です。 


●他部署が全く協力的でないセクショナリズムが強い組織風土。

 これは新規事業を部署のミッションにしていると起こりがちです。「あの部署は結局何をやっているのかわからない」「うちの部署が協力するメリットがない」など、部門間の協力が取りづらいことがイノベーションの推進に悪影響を与えることがあります。これは、縦割り構造の組織が悪いというよりも、新規事業開発やイノベーションを他部署と並列にしていることから起こりやすい問題です。


 全社プロジェクトとしての取り組みだということを経営層からしっかりと全社に周知し、関連する部署の主要メンバーを兼務でもいいので、必ずそのプロジェクトにアサインさせることで解消される場合があります。


 組織風土づくりには様々な要素が必要ですが、イノベーションが起こらない、メンバーにもっと挑戦して欲しいと言う前に、まずは、それができる風土になっているかをチェックしてみる必要があるかもしれません。


あなたの会社は、イノベーションの種を見つけやすく、芽が出たら全員で育み、しっかり実まで育て切る組織風土になっていますか?


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