• 古澤慎之介

嫌われてもいい相手を明確に定義して、自社サービスの発見確率を高める見せ方。

最終更新: 3月28日

 私たちの生きている社会は、あらゆるサービスや商品が溢れており、余程参入障壁の高いサービス以外は、類似商品との競争が過剰になり最終的には消耗戦になって疲弊しているなんてことも少なくありません。


 売れ続ける商品・サービスには、発見され、選らばれ、愛され続ける理由と仕組みがある。という記事を書きました。この3つの中の「発見される」と「選ばれる」は、一度も購入したことがない人に対してのプロセスです。どんなに素晴らしい商品やサービスでも発見されなければ、意味がありません。発見されても、他の商品と比較して、選ばれなければ意味がありません。この最初の壁を超えやすくするための工夫についてお話ししてきます。


 飽和社会、競争過剰な中では、埋もれやすい状況になることが多く、発見される壁、選ばれる壁を超えるコストは高くなってきています


自社の商品を多くの人に買ってもらおうという気持ちを捨てる。

 せっかく素晴らしい商品・サービスを作ったのだから、たくさんの人に提供したいという気持ちは、とても素敵なことでありますし、是非そうなって欲しいと思うのですが、そのためにはまず、「発見される」「選ばれる」の壁を乗り越える必要がありますが、この壁は思いのほか厚いのです。


 「1度使ってもらえれば良さがわかってもらえるのに」という声も聞くことがありますが、その1度の壁を超えるのがなかなか大変なのです。だから、たくさんの人に買ってもらおう、使ってもらおうという想いは一旦心の奥にグッと押し込めて、まずは、いかにこの「発見される壁」「選ばれる壁」を乗り越えるかということを目的にします。


 どの企業も自社サービスのターゲットセグメンテーションについては明確にしていると思います、そしてどうしたらその層に選んでもらえるかということもしっかりと吟味し、その層の気を引くためのマーケティングコミュニケーションを徹底されているとは思います。

しかし、その結果、そのコミュニケーション自体も同質化してしまい、結局なかなか差別化が測れないということも少なくありません。 


ターゲットセグメンテーションの逆を考える。

 多くの企業は、サービスの顧客は誰なのか?については突き詰めて考えることはありますが、誰に嫌われてもいいのか、どこの層は顧客にならなくていいのかということを考えることは少ないと思います。


 しかし、これは結構重要で、あえて領域を明確にし、境界線を明確にしておくことで、メッセージにエッジを立てやすくなり、それによって誰がターゲットなのかがわかりやすくなり、ターゲットセグメンテーションのど真ん中になる層が「自分にマッチするサービスかも」と気がつきやすくなります。


キャッチコピーひとつで現状を打破した街の定食屋さん


 一つ実例をご紹介します、都内のとあるビジネス街にある定食屋さんの実例です。

エリアの再開発が進み、近隣に新しいオフィスビルや、様々な専門生の高いおしゃれな飲食店の乱立し、過剰競争に巻き込まれ、選択肢が増えたことにより集客に苦戦していたお店がありました。商売環境としては、ビジネス街でもあるので、人通りが多いのですが、あまりお店に人が入ってきません。


 古い店舗なので、お世辞にもおしゃれとは言えない店構えで、近隣にできたお店に比べて外装は見劣りします。メニューは豊富なのですが、その分何かに特化するわけでもない、いわゆる街の定食屋さんです。もちろん味もボリュームもバッチリです。


 環境が変わったので、メニューを絞って何らかの専門店として、店舗も綺麗にリニューアルをすることなども検討していたようなのですが、話をよく聞いていると、それは"やむを得ず"というニュアンスがあったので、私はまずコストのかからないことから始めましょうと、外に出しているメニュー看板にこのようなコピーを目立つように書いてみました。


「カロリーを気にする方にはオススメしません!

       ウマすぎ!ガッツリ!腹いっぱい!」


 結果は、即日あらわれました。普段は通り過ぎていた人が「ん?」となって立ち止まり、初めて来店する方であっという間に席が埋まりました。


 もともと女性客が多い店ではなかったですし、そもそもカロリーを気にしている人は定食屋にはあまり来ないだろうという仮説から、そこをバッサリと切り捨て、思いっきり、境界線ギリギリを攻めたメッセージを出したことで、誰が対象のお店なのかがはっきりと伝わり、逆にそこまで言うことで、一度味わってみたいという興味を喚起することができたということです。


 ビジネス街であると言うことと、もともと実力(味)はあったので、1度でも来てもらえれば、その後ランチのルーティンに入り込めると思っていたので、念押しのために、またランチで再度きていただける仕掛けとして「店主やけくそのマル秘裏定食を注文できる券」を配布して、2度目の来店を促進する仕掛けも当たり、その後の集客に繋がっていきました。


 このように、ある程度の実力があることは大前提ですが、誰のための店なのかということを明確にするために、あえて本来のターゲットセグメンテーションの逆は何かということを明確に打ち出していくことで、本来のターゲットである「カロリーなんて気にせずガッツリ食べたい層」に発見されるだけでなく、彼らがその店を「選ぶ理由」を強烈に提供したことによって、もっとも超えるのが大変は、「発見される壁、選ばれる壁」を打破したのです。


 お金は一円もかけていません。誰のための、どんな店なのかを道ゆく人にわかりやすくしただけです。


自社の商品は誰に嫌われてもいい(買ってもらわなくていい)のかを明確にする。

 誰に買って欲しいかということと同時に、誰に嫌われてもいいのかということを明確にして、あえてそこを打ち出すことで、そのサービスが持つ専門領域がどこなのかということがハッキリと見えてくることがあります。それを見た見込み客は「あれ、俺に関係あるなこれ」という認識を持ちやすくなるのです。


 メインターゲットに、どうやったら買ってもらえるかということばかりで、結局競合とメッセージを同質化させてしまうのであれば、メインターゲット外にどういう打ち出し方をしたら嫌われるのかという視点で考えてみるのも面白いと思います。


SNSや動画での情報発信にも活用できる。

 このターゲットセグメンテーションの逆を考える方法は、昨今増えているSNSやYoutubeなどでの動画を使った情報発信でも活用できます。境界線をはっきりさせて、ギリギリを責めることで、アンチからは嫌われることはありますが、その分、「そうだそうだ!」という賛同も集まりやすい。炎上商法とはまた違いますが、何を大切にしているのかが伝わりやすいことで、SNSや動画などの情報発信でも意識していきたいポイントです。


 これら以外にも、様々なカテゴリで使える汎用性のある手法なので、頭の片隅に入れておいていただければ、いつかお役に立つかもしれません。


 ただし、このギリギリの匙加減が結構難しいので、しっかりと戦略を立てて、ラインを引くようにしていきましょう。飽和社会の中では実力があるのは当たり前で、実力があっても発見される壁、選ばれる壁を超えるのに苦戦しているケースは少なくありません。この壁を超えるためのコミュニケーションを今一度見直してみてはいかがでしょうか。



最後までご覧いただきありがとうございました。あなたの素晴らしい活動・商品サービスによって、多くの人が幸せになることを願っています。ビジネスの無料相談等も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。


25回の閲覧